>HOME >博士の自然講座 (トップ)植物談義 第6話  
 
   
植 物 談 義    第6話
「植物は独立栄養、動物などは従属栄養で生きている」

ミネラルとは何に・・栄養元素のいろいろとは・・

 
   
  1.植物の生育に必要な三要素・カルシュウム・マグネシュウムで五大要素

 

 人間が生きていく上で、脂肪(アミノ酸)、タンパク質、糖質(炭水化物)、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの6大栄養素が必要なように、植物が生きていくためには、窒素・燐酸・カリ・の三大元素が不可欠である。

 

 農業の分野では「昔から葉肥え、実肥え、根肥え」と言われてきたように、「N・P・K」の働きを端的に現したものとして、実体験的にもその要点を心得ている。

 

 N←→窒素
葉緑素の主成分であり、光合成において重要な働きをしている。葉や茎の中でタンパク質やアミノ酸ATPの成分となり、茎・葉の成長にとって重要である。 葉菜類には特に必要な要素であり、多すぎると葉が大きく軟弱になる。さらに果菜類ではつるぼけとなって、花つき、実つきが悪くなり、イモの太りが悪くなる。窒素は水に溶けやすく雨によって流出しやすい。不足すると葉の緑が薄くなって育ちが悪くなる。(*ATP・・アデノシンー三ーリン酸)

 

 P←→燐酸
 特に果菜や根菜には重要な成分。初期成長には特に必要。不足すると下葉や茎の暗緑色・紫色化・分けつが衰え成長を阻害。また、リン不足は根の張りが悪く、寒さに弱く、花や果実のつきが悪くなる。燐酸は雨による流亡が少ない。成長の盛んな部分である「核酸・ATP・膜」の細胞分裂に重要な働きをしている。

 

 K←→カリウム
特に根菜類に重要な成分で、根の発育、耐寒性、耐病性を高める作用があるので栽培の全期間必要である。浸透物質、気孔開閉、酵素の活性化などの役割をもつ。不足すると炭水化物の合成が妨げられ、根の太りが悪くなる。古葉の先端・周辺に黄褐変・褐色、白色斑などが現れ成長を阻害。窒素と同様に溶け易く流亡しやすい。

 

 Ca←→カルシウム
石灰は酸性土の中和剤として一般的に用いられている。タンパク質を作るのに関係し、細胞壁・膜の安定化・重力感受性、根の発育などには不可欠で、病害虫に対する抵抗力を増やす要素である。不足すると頂芽が曲がり枯死する。

 

 Mg←→マグネシウム
葉緑素=クロロフィルの成分、酵素の活性化に機能し、不足すると葉脈と葉脈の間が黄化現象を起こす。砂質土や酸性土では欠乏が起こりやすいので苦土石灰を施用するとよい。

 

 
   
  2.陸上の全生命体は「植物の根」に依存して生きている

 

 地球上に存在する天然の元素は約90種類。その中の60種類が植物体に含まれる。このうち植物の生育に不可欠なものは、「16元素←→必須元素」である。

 

(A) 炭素←→C・水素←→0・酸素←→H・硫黄←→Sなどの4元素を加えた9元素を多量必須元素。
鉄←→Fe・マ ンガン←→Mn・銅←→Cu・モリブデン←→Mo・ホウ素←→B・亜鉛←→Zn・塩素←→Clなどの7元素を微量必須元素という。 

(B) これらの中で水と空気から得られる「炭素・水素・酸素」の3元素を除いた13元素を無機栄養素(mineral elements,ミネラル)と呼ばれ、土壌中に存在するものが根から吸収される。

 

(C) 細胞は硬い細胞壁によって囲まれているので、水に溶けたものでないとミネラルとして取り込むことができない。

 

(D)土壌溶液中のリン酸含量は低いのに、植物体中のリン酸含量は何千倍も高いのは、植物はリン酸を積極的に吸収し濃縮する性質をもつからである。

 

(E)元素は水に溶けると電気を帯びた「イオン」になり、土壌中の溶液にイオンとして溶けているものが、植物の根に養分(イオン)として吸収される。

 

以上のように植物の根から吸収された水とミネラルは、光合成で作られるグルコース等の糖質・脂質・タンパク質などと共に有機物として植物の成長に用いられ、また貯蔵される。
↓↓                             ↑↑
◆植物体は草食性動物の食物として食物連鎖に組み込まれ、さらに地球の生物圏を循環することになる。
↓↓                             ↑↑
◆植物の根は、地球の自然界に存在する無機物(ミネラル)を動物などの従属栄養的生命へつなぐ接点であり、無機物の循環の媒介者としての役割を果たしている。
 
   
  3.従属栄養生物の動物は、植物に依存して生きている

 

  植物の特徴・・・地球上の生物の生存にとって植物が不可欠である理由は・・?

 

(A) 最大の特徴は光合成によって独立栄養生活を営むことである。それは緑の色素=クロロフィルが太陽の光エネルギーをとらえ、有機化合物を合成することによる。

 

 地球上の動物・菌類などの従属栄養生物は、すべて植物が合成した有機化合物に依存して生きている。食物以外に日常生活で使っている石炭や石油も、遡れば植物の遺体が変形したものである。

 

(B) あらゆる生物は呼吸のために分子状の酸素を必要とする。その酸素は植物の光合成によって生じたものである。植物による酸素の供給は、地球上での酸素収支をまかないバランスがとれている。

 ◆植物は独立栄養を営む・・・よって独立的に生きていける。

 

 緑色植物は光合成を営んでいる。水と二酸化炭素、無機栄養素(ミネラル)を原料として太 陽光エネルギーを用いてアデノシンー三ーリン酸(ATP)をつくり、それを使って糖質・タ ンパク質・核酸などの体の構成物質を合成することができる。これを独立栄養という。

 

 ◆動物や細菌類は従属栄養で生きている・・・食物連鎖のもとでしか生きていけない。

 

 一方、動物や細菌類などは、食物連鎖によって緑色植物が作っている有機物を用いて自らの 体の構成物質を合成する。このような栄養法を従属栄養という。


 全ての動物にとって植物は重要なエネルギー源である。植物は植食動物のエサになり、植食 動物は肉食動物のエサになり、肉食動物はまた他の肉食動物のエサとなる。

 

 ◆食物連鎖

 
   
  4.人間の栄養素と、体構成成分・・・
 

 人間の体は摂取した栄養素とこれらから作られる成分によって形成されている。

 

◆成人男子・体重70sの体成分表;水分が約60%・・・半分以上が水
;残りの約40%は脂肪・タンパク質・無機質・糖質など


◆水分を除いた構成元素は

炭素 >C    50%
酸素 >O    20
水素 >H   10
窒素 >N   8.5
カルシュウム>Ca  4.0
リン >P    2.5
カリウム >K  1.0
硫黄 >S  0.8%
ナトリウム>Na 0.4
塩素 >Cl  0.4
マグネシウム>Mg  0.1
鉄 >fe     0.01
マンガン >Mn  0.001
ヨウ素 > I   0.000005

 

 炭素・酸素・水素は食物中の糖質、脂質、タンパク質から主に供給される。窒素はタンパク 質のみから供給される元素である。この四つの元素で88.5%を占める。

◆水の栄養学的意義について述べると、水は体重の約60%を占め最も重要な成分である。発 汗や下痢で体重の2%の水分を失うと、のどの渇きを覚える。身体活動量が少なくなる。

 

 体重の6%以上の水分を喪失すると顔面は灰色となり、強い口渇感をおぼえ、物を飲み込むことが困難になり、精神は錯乱状態に陥る。

 

 

◆生活活動の強度区分とエネルギー所要量

 

 生活活動の強度区分は、低いT・やや低いU・適度V・高いWの4区分。Vは健康人として適正なエネルギー消費量をして、活発な生活活動をしている場合で、国民の目標とするもの。

 

*生活区分・適度Vの場合のエネルギー所要量(kcal/日) ( )は生活区分Tの場合


   50〜69歳a 男・2300 女・1900  (男1750 ; 女1450)
   70歳 以上a 男・2050 女・1700  (男1600 ; 女1300)

 

*糖質はエネルギー源、主食中の最大成分であり、1g当たり4kcalの熱量を発生する。
*脂質はエネルギー源、体の構成成分であり、1g当たり9kcalと2倍の熱量を発生する。
*タンパク質は、細胞の主成分、人体固形成分の47〜54%を占め、他の栄養素が不足すると燃焼し、1g当たり4kcalの熱量を発生する。

 
 
   

【参考資料】

 

 ・ 生物生理学   増田芳雄著/放送大学出版会

 
   
 
   
   
Copyright (C) 2006 NPO Hobashira Nature Park Protection Association All Rights Reserved.