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植 物 談 義    第23話
  「チャンチンとチャンチンモドキの話」
     へんな名前ですが、有用樹種であり、近くで観察できます


  この樹種に初めて出会ったのは、およそ20年ほど前のことであった。チャンチンモドキは鹿児島・熊本が植生の南限だとするのが植物学会の定説になっている。

 

 そんな中で、福岡県の旧宮田町の山中に「自生」のチャンチンモドキを植物愛好家が発見。人工的な植樹か、自然による自生かは定かでないため学説の変更までにいたっていない。

 

 一方のチャンチンは、福岡市内は天神の四つ角で見ることができる。5〜6mの成木の街路樹がチャンチンであり、春の芽立ちの頃、見事な赤紅色に染まるから感動ものである。

 
   
1.チャンチンの話(中国原産)

 センダン科のチャンチンは、中国原産の高さ30mにもなる落葉高木で、香りのある新芽が赤紅色であることに、今までにはない印象深いものを感じる。

 

 渡来したのは江戸時代初期に来日した明の高僧「」が、宇治市の万福寺に植えたのが初めてといわれている。チャンチンは中国名を「香椿・チャンチュン」といい、呼び名がなまってチャンチンとなったものである。   

 センダン科の仲間であるチャンチンは、通直な幹と羽状複葉、6〜7月ごろ枝先に20p前後の大きな円錐花序を出し、小さな白い花を多数をつける。秋に木質の朔果が熟し、裂開して翼のある種子を撒布する。

 

 材質は固く光沢が美しく、建築材、家具、器具材に用いられる。チャンチンの香り高い新芽は、宇治市の万福寺の普茶料理のひと品として用いられる。

 
   
2.センダンの話(熱帯原産)


センダン科のセンダン(栴檀・別名オウチ)は、熱帯と亜熱帯に分布し温帯では少ない。世界中に約50属・550種あるが、伊豆半島以西の暖地に自生し、特に西日本に多い。古くから植栽されているので、その分布域ははっきりしない。

 

 校庭や寺院の境内に植えてあるのをよく見かけるが、20m以上にもなり大木が多い。5〜6月頃、羽状複葉の間から円錐花序を出し、淡紫色の花を多数開く。遠目でも目立つ花である。         (センダンの自生?)

 

 

 秋の落葉の後には黄色く丸い実がたくさんぶらさがっているのをよく見かける。材は建築材・家具・器具材・琵琶の胴などに用いられ、キリやケヤキの代用にもされる。

 

 枝葉は有毒で殺虫剤に用い、樹皮は「苦練皮・クレンビ」とよばれ、回虫、条虫駆除薬に使われる。果実は「川棟子・センレンシ」と呼び腹痛や疝痛に用いられる。

 

 西行法師の「」にある「せんだんは双葉よりし」とい有名な言葉は、中国名の栴檀(ビャクダン)をせんだんと誤って呼んだことに端を発する。センダンは香木のビャクダンのように芳しくない。ビャクダンは熱帯に産する常緑の中高木で心材は赤色で香気がが強い。

 

 同じ仲間にマホガニーがある。フロリダ半島と西インド諸島に分布する常緑高木で巨大木になる。材質は軟らかく、比重も小さい。赤褐色の心材は光沢があって木目も美しく、耐久性も優れていることから建築材や家具材に用いられ、インドでは早くから栽培が試みられた。

 
   
3.チャンチンモドキの話(南国産)・ウルシ科


  このチャンチンモドキに出会うことは、全く幸運だったと思っている。現役時代のことであり、早速現地に飛んでいった。何の呼び知識が無いままでは「・・モドキ」だと判断できるものではない。第一に自生地が福岡県だからである。無いところに有ったのだから・・・。

 

 ウルシ科・チャンチンモドキは、日本では鹿児島県・熊本県を南限とし、中国南部・タイ・ヒマラヤなどに分布。落葉高木で高さは30mに達する。

 葉は互生で奇数羽状複葉。チャンチンの葉に似ていることにちなんで和名の「・・モドキ」がつけられたという。雌雄別株・5月に暗紫褐色〜赤褐色の花を開く。がく片、花弁とも5枚。

 樹皮は赤褐色で縦に細く裂け、薄く剥がれる。(写真を参照)

 核果は3pほどのほぼ球形、11月に黄色から橙色に熟す。果実は食べられないことはないが、あまりうまくないという。

 

(写真:チャンチンモドキの実)

 

★有名な「あのマンゴー」は、なんとウルシ科なのです

 熱帯果実の女王はマンゴー。王様はドリアンだという。ひと好きずきだから、どっちが王様であっても、女王であってもよいのでは。

 

 ウルシ科のマンゴーは熟した果実を食べたり、若い葉や果実を料理に用いたりする。現在は世界中の熱帯で栽培されている。

 

 マンゴーは樹高10〜30mの常緑高木で、インド北部からミャンマーが原産地と考えられている。東南アジア・ソロモン諸島にかけて40種ほどが分布する。

 単葉で互生した長楕円形の葉は、枝先に密生してつくことでよく茂った樹冠を形づくり、強い日差しを遮ることから日陰は重宝。インドでは2〜3月に甘い香りの小さな花を円錐花序につける。

 

 果実は5〜6月の暑さかりに熟す。栽培品種により1個が50cの小さいものから1sを越す大きな物までいろいろ。外皮の色も赤・黄色・緑色とさまざま。

 

 マンゴーの若い果実を食すると「かふれる」から要注意。ウルシ科であることを忘れないで。


 それにしても、宮崎のマンゴーはうまそうですね・・。

 

(文責:田代 誠一)

 
   
   
【参考引用文献】
・植物の世界3巻  朝日新聞社/鈴木三男・岡本素治著
・樹に咲く花  山と渓谷社/太田和夫ほか解説
・仏教植物散策  東京書籍/中村 元著
 
   
 
   
   
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