>HOME >博士の自然講座 (トップ)植物談義 第2話  
 
   
植 物 談 義    第2話
「マムシグサの雄花・雌花は転換します」

 

 帆柱山系の登山コースは、東西南北から山頂をめざす歩道が12コースあるといわれています。どの歩道を歩いても必ず出あうのが「マムシグサ」です。それだけ生育環境に適している土地であり、老木の茂る木陰にはたいていの所で見ることができます。

 名前からしてちょっと馴染めそうにありませんが、観察する上でこれほど興味をそそる植物も珍しいのです。ぜひとも観察してみてください。きっと期待できます。ただし、あまり触らないでね。

 

 

マムシグサ
「仏炎苞(ぶつえんほう)」

 
   
  1.花構造は独特で、非情な花のようです

 

 マムシグサの花は花弁やがく片などの構造はなく、「仏炎苞(ぶつえんほう)」といわれる独特の形をしています。 苞の中には肉穂花序の軸が一本立っています。

 

(1) 中の花は外からは見えにくく、雨水が入らないようにふたの役割をする「苞」は特異。
(2) 雄の穂には雄しべだけ、メスの穂には雌しべだけがトウモロコシの実のようにつく。
(3) 虫媒花のマムシグサはキノコバエが花粉交配を仲介。
(4) 仏炎苞の内部はツルツルした滑りやすい壁構造になっており、入り込んだ昆虫は背中に花粉をいっぱいつけたものの、外へ飛び立つのに一苦労。
(5) うまく脱出した昆虫は雌花の仏炎苞に進入。雌しべの上を行ったり来たりすることで、花粉交配をおこなう。

 雄花の「仏炎苞」は下方の隅に小さな穴があり、そこからどうにか脱出できたのですが、雌花には脱出孔がないのです。花粉を運んできた昆虫は死の危険と直面することになります。
 ここらあたりが「蝮(マムシ)」 のようであり、「仏」 とはほど遠い非情な「花」と言われる所以です。

 

 
   
  2.雌花をつけるまでには年数を要します

 

 興味がつきない一つに、サトイモ科・テンナンショウ属植物の性表現は、球根の重さによって決まることが栽培実験の結果あきらかになったのです。

(1) 球茎の貯蔵物質が少ないときは花は咲かない。茎は2枚の葉による偽茎であって本当の茎ではない。
(2) 球茎がある一定以上の重さになると、花茎を出して雄花をつける。
(3) さらに球茎が大きくなると、ある年から雌花をつける。
(4) 上記は雄花から雌花の転換であるが、何らかの原因で球茎の重さが減少すると、雄花に逆戻りする。このような可逆的な性転換は動物界ではおこりえない。

 実験ではテンナンショウ属植物の偽茎のサイズを指標とするもので、サイズが5mmより大きくなるにつれ雄花をつける個体の割合が増える傾向にあり、さらに15mmを超えると雌花をつける個体の割合が増えていくことが発表されています。

 実に興味のある内容です。ぜひとも観察してみては如何でしょうか..? 自然のおもしろさが倍増すること間違いありません。

 

アケビの花

大きい方が雌花

 
   
  3.他の植物の性転換は..

 

  アケビ・ウリハダカエデ・オオバコ・クサギなどが有名です。転換の指標はテンナンショウ属のように明らかではありません。今後の研究が待たれるところです。

アケビの場合、


(1) アケビのつるが短いときは、花は咲かないし葉だけが茂る。
(2) 花が咲くようになっても、最初は雄花しかつかない。
(3) つるがおおきくなると雌花の数も増えてくる。

  何年も経つのにアケビの実がつかない、という話をよく聞きますが、「つるの大きさ」の目安が明らかなので、辛抱しながら育ててください。植物は可愛がれば必ず応えてくれます。

 

 
   
   
 
   
   
Copyright (C) 2006 NPO Hobashira Nature Park Protection Association All Rights Reserved.